軍事・安全保障

正規軍と革命防衛隊の二重構造。
非対称戦能力とミサイル開発による抑止力。

イランの軍事組織は、国土防衛を担う「国軍」と、イスラム革命体制の守護を目的とする「イスラム革命防衛隊(IRGC)」という、独立した指揮系統を持つ二つの組織が並立する独特の構造を持っています。 特に革命防衛隊は、軍事面だけでなく、政治・経済においても強大な影響力を行使しています。

イラン・イスラム共和国軍 (Artesh)

伝統的な正規軍であり、主な任務は国境の警備と外部からの侵略に対する国土防衛です。 陸・海・空軍および防空軍から構成されています。

  • 兵力: 約40万人(推定)
  • 役割: 国土防衛、治安維持
  • 特徴: 政治的中立性が比較的高い
イスラム革命防衛隊 (IRGC)

1979年の革命直後に創設されたエリート部隊。体制の維持と革命の輸出を任務とし、最高指導者に直結しています。 独自の陸・海・空軍に加え、特殊部隊「コッズ部隊」や民兵組織「バスィージ」を傘下に持ちます。

  • 兵力: 約19万人(推定)+バスィージ(数百万)
  • 役割: 体制護持、弾道ミサイル運用、海外工作
  • 特徴: 政治・経済への深い関与

主要な軍事戦略

ミサイル戦力

中東最大級の弾道ミサイル・巡航ミサイルの在庫を保有。 空軍力の劣勢を補うための非対称戦力の中核であり、イスラエルや米軍基地を射程に収める抑止力として機能しています。

代理勢力ネットワーク

「抵抗の枢軸」と呼ばれる親イラン武装組織(ヒズボラ、ハマス、フーシ派など)を支援。 直接的な衝突を避けつつ、地域全体に影響力を及ぼす戦略を採用しています。

非対称海軍戦力

ホルムズ海峡の封鎖能力を誇示するため、小型高速艇、機雷、対艦ミサイル、潜水艇などを多数配備。 圧倒的な米海軍に対抗するための「スウォーム(群れ)戦術」を重視しています。